2019年01月13日

ERDL迷彩戦闘服(LCリーフ)

みなさん、こんにちは。
70年代装備特集 第2回目です。


今回取り上げる米軍放出品は、1970年代に採用された唯一の迷彩戦闘服です。

HOT WEATHER CAMOUFLAGE UNIFORM

こちらは1970年代後半から80年代中頃にかけてアメリカ陸軍及び海兵隊で使用された「ホットウェザー・カモフラージュ・ユニフォーム(高温度域用迷彩戦闘服)」です。
ホットウェザー・カモフラージュ・ユニフォームはERDL迷彩のTCUに代わる迷彩戦闘服として採用されました。米陸軍では一部の部隊(緊急展開軍)に集中して支給され、一方の米海兵隊では広く支給されました。
80年代に発売された「月刊コンバットマガジン」を読みますと、(今は無き)軍払い下げ店の広告ページには放出品のホットウェザー・カモフラージュ・ユニフォームは「リーフパターンジャケット及びパンツ」という商品名で販売されていました。



布地に使用される迷彩パターンは、ERDL迷彩を再度修正したものです。ベトナム戦争時のERDL迷彩2種類(グリーンリーフ、ブラウンリーフ)を第一世代とすると、こちらは第二世代に相当します。ユニフォームが支給された当時は新型の個人携行装備が全軍に普及し始める頃と重なっていた為、この迷彩パターンは「LCリーフ」または「LC-1リーフ」と呼称されました。


上がLCリーフ、中がブラウンリーフ、下がグリーンリーフのジャケットです。枝を模した黒い模様が少し太くなっています。


こちらはホットウェザー・カモフラージュ・ユニフォームのジャケットです。TCUに比べて胸ポケットがストレートタイプに戻る等、全体的に手堅いデザインにまとめられています。


品名:COAT, HOT WEATHER, CAMOUFLAGE PATTERN
調達年度:1981年度コントラクト
製造業者名:VANDRBILT SHIRT CO. INC.



こちらはホットウェザー・カモフラージュ・ユニフォームのトラウザーです。TCUの4thモデルの前合わせ部分はジッパー式でしたが、ボタン式に戻りました。


品名:TROUSER, HOT WEATHER, MEN'S, CAMOUFLAGE PATTERN
調達年度:1981年度コントラクト
製造業者名:PROPPER INTERNATIONAL. INC.


ご覧頂き、ありがとうございました。  


Posted by たこあし  at 18:35UNIFORM

2019年01月06日

M65フィールドジャケット(OG-107)

みなさん、こんにちは。
70年代装備特集 第1回目です。


米軍の完全撤退から1年半後の1975年4月、南ベトナムの首都サイゴンは北ベトナム軍(NVA)の春期攻勢(ホーチミン作戦)によって陥落し、ベトナム戦争は終結します。これにより、共産勢力の拡大を防ぐ為に一時期は全戦力の6分の1の投入さえ行ったアメリカ合衆国は建国以来、初めての敗北を喫しました(国家としての敗戦では無い)。
ベトナムでの敗退後、アメリカ国民は「ベトナム戦争症候群(VIETNAM WAR SYNDROME)」と呼ばれる、自信を喪失した状態になり、長くその後遺症に苦しむ事になります。中でも、ベトナムからの帰還兵の社会復帰を巡る問題は映画の題材に取り上げられる程の社会問題となりました。映画「ランボー(原題:FIRST BLOOD)」や「タクシードライバー(原題:TAXI DRIVER)」では、アメリカ社会から冷たい仕打ちを受けて追い詰められたベトナム帰還兵が凶行に走る様を描いています(ランボーは被害者側)。


では、第1回目に取り上げる米軍放出品は、上記の作品に登場する主人公も着用していた防寒衣服です。

M65 FIELD JACKET

こちらは1960年代後半から80年代半ばにかけてアメリカ陸軍及び海兵隊の兵士に支給された「M65フィールド・ジャケット」です。
M65FJが採用された当時は、アメリカが軍事介入したベトナム戦争がいよいよ泥沼化してきた時期ですが、あくまでもアメリカの主敵はソビエト連邦でした。特に、東西冷戦の主正面であるヨーロッパは北海道より緯度が高いので基本的には亜寒帯地域が多く、対峙するワルシャワ条約機構軍(ソ連を中心とする東欧共産諸国の軍事同盟)との将来予想される戦いでは、冬期戦も念頭に置いた装備衣服の拡充が必要でした。
M65FJは従来、支給されていた「M51フィールド・ジャケット」を更新する目的で開発された防寒衣服であり、古くは第二次大戦中に採用された「M43フィールド・ジャケット」から始まる、「レイヤー(重ね着)システム」を採用した野戦服の完成形です。
M65FJは段階的に改良が加えられており、海外の研究者から分類上、4種類に分けてあります。
①1stモデル:前合わせと襟部分のジッパーがアルミ製、ショルダーループ無し
②2ndモデル:前合わせと襟部分のジッパーがアルミ製、ショルダーループ有り
③3rdモデル:前合わせと襟部分のジッパーが真鍮製、ショルダーループ有り
④4thモデル:前合わせと襟部分のジッパーがナイロン製、ショルダーループ有り
※3rdと4thの間には前合わせのジッパーが真鍮製、襟部分のジッパーがナイロン製という過渡期の物も存在します。
画像のM65は、4種類の中で最も人気がある(らしい)2ndモデルです。




M65FJには内側にボタンが各所に縫い付けてあり、こちらにキルティングライナーを装着させる事で防寒性が向上します。この方式の「レイヤーシステム」はM51FJから引き継いでいます。
ベトナム戦争でも標高の高い地域では防寒用に支給されていました(100m高度が上がると気温は0.6℃低下します)。



腕の袖口の太さはベルクロで調節出来ます。三角形の布地が追加で設けてあります。その後の製造モデルには省かれています。



品名:COAT, MAN'S FIELD WITH HOOD NYLON COTTON SATEEN OG-107
調達年度:1968年度コントラクト
製造業者名:SPORTSMASTER INC.


下のラベルは裾部に縫い付けてある物です。「COAT, MAN'S, FIELD, M-65」は制式化当初の品名です。

M65FJは野戦服としての完成度の高さから、他国軍がこぞって似たデザインの野戦服を採用しています(陸自の防寒外被もそうです)。また、放出品が冬物のアウターとして人気が出た為、新規の放出がとても少なくなった現在、レプリカM65が一般のアパレルメーカーから販売されています。ROTHCOやHELIKON-TEXの物が廉価でお薦めです。他には某ブランドメーカーが販売している超高額のレプリカも存在します(機能性、防寒性に何ら違いはありません)。

ご覧頂き、ありがとうございました。








  


Posted by たこあし  at 17:25UNIFORM

2018年12月30日

M1967装備

みなさん、こんにちは。
ナム戦装備特集 第11回目です。


いよいよ今年も残り僅かとなって参りました。
「平成」の御世の最後の大晦日となります。
みなさん、良いお年を!


さて、長らく続きました、ナム戦装備特集も今回で最終回です。
最後に取り上げます米軍実物放出品は、「M1956装備」の後継となる個人携行装備品です。


M1967 LOAD CARRING EQUIPMENT

こちらはアメリカ陸軍で使用された「M1967 ロード・キャリング・イクイップメント(1967年型携行装備)」です。
これはM1956装備の後継として開発された携行装備であり、最大の変更点は素材をコットン繊維からナイロン繊維へと全面的に変えた事です。コットン繊維は水に触れると水分を多く含む特性がある為、コットン装備が水に濡れると2倍近くの重量増加を来して着用する兵士の疲労を増大させていました。一方のナイロン繊維を用いた装備では4分の1の重量増加で済み、しかも乾きやすくて耐久性もある理想的な素材です。
スコールや河川が多いベトナムの環境には正に打って付けの装備と言えますが、制式採用された翌年に起きた「テト攻勢」を契機に、米軍はベトナムからの撤退を進める羽目になった為、わざわざ新型装備を支給する必要性が無くなってしまいました。ベトナムからの完全撤退までの間、M1967装備の支給は限定的で、米軍での本格的な普及は撤退後となります。


それでは、M1967装備(以下、67装備と略します)を構成する各装備品を紹介します。

PISTOL BELT


こちらは67装備のピストルベルト2種類です。上が通常型、下が「デイビス型」と呼ばれる物です。デイビス型のバックルは通常型とは異なる形状をしており、装着のしやすさを考えたデザインになっています。これは個人的な意見ですが、デイビス型は逆に外れ易くないでしょうか?後継の装備では採用しておりませんので、もし機能的に優れていれば、こちらが引き継がれるはずです。

SUSPENDER


こちらは67装備のサスペンダーです。56装備では3サイズ展開で着用者の体格に合わせていましたが、67装備のサスペンダーでは長さを調節出来るように変更してあり、フリーサイズ仕様になりました。

M16A1 20 ROUND MAGAZINE POUCH


こちらは67装備のM16A1ライフル20連マガジン用パウチです。56装備でベトナム戦争中に導入された20連マガジン用パウチをナイロン化した物です。

1QUART CANTEEN COVER


こちらは67装備の1クウォートキャンティーン用カバーです。側面には浄水錠の小瓶を入れておく小さいポケットが設けてあります。

FIELD PACK

こちらは67装備のフィールドパックです。・・・と言いたい所ですが、実物写真と見比べるとデザインに一部違いが有り、別物かもしれません。訓練用のパックが存在するそうですが、もしかしたらこれかもしれません。

FIRST AID POUCH
INTRENCHING TOOL COVER



こちらは67装備のファーストエイドパウチとエントレンチングツール用のカバーです。エントレンチングツールは三つ折り型の物に変更されており、より嵩張らない設計になっていますが、強度的には前モデルに劣り、壊れ易かったそうです。

M1967装備は完全なナイロン化を実現する事で、従来型の携行装備が抱えていた諸問題を解消しました。しかし、現場の兵士から容量不足と指摘されていたフィールドパックを装備に組み込んだデザインは相変わらずであり、これは単に、M1956装備をナイロン素材で作り直しただけという印象が拭えません。携行装備としてはまだ完成形と呼べる水準では無く、さらなる後継装備の開発が必要でした。

ご覧頂き、ありがとうございました。
次回からは、1970年代のアメリカ陸軍/海兵隊の一般歩兵部隊装備を取り上げます。








  


Posted by たこあし  at 22:52EQUIPMENT